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ニューズウィーク誌(米国版)の記者より、弊社社長江守康昌が『国際的に活躍する日本企業の特長』についてインタビューを受けました。
ニューズウィーク誌(米国版)の記者より、弊社社長江守康昌が『国際的に活躍する日本企業の特長』についてインタビューを受けました。 記事内容等につきましてはこちらをご覧ください。
ニューズウィーク誌(米国版)の記者によるインタビュー記事 (英語)
掲載元:Worldfolio (英国の通信社。世界経済や独自性のある企業、トップの紹介等を掲載。世界各国の有数媒体の記事も取り扱っています)
以下、日本語訳を掲載いたします。
日華化学の、人が集う「バザール」的な研究スタイルが、世界に通じる価値を生み出す
日華化学は1941年創立以降、市場のニーズに応え優れた価値のある化学製品を提供し続けてきました。界面活性剤を専門とし、繊維から金属、クリーニング、化粧品等と、シナジーが描ける幅広い業界に展開しています。社長の江守康昌は、企業文化の中で大家族主義を大切にしていること、また市場の要求に応じ、環境に優しい革新的な製品を生産することに重点的に取り組んでいることを話してくれました。
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Q.記者はアベノミクスは、今までの考え方を変えようとしている経済政策であることを多くのインタビューを通して伝えてきました。日本の民間会社はよりグローバルに考え、行動することが望まれていますが、これに賛成していますか?そして、あなたの同僚や仲間の経営者たちは、グローバルに物事を考えていますか?また、海外でより野心的に行動できていますか?
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はじめに、安部首相・アベノミクス以前には、我々はすべてがネガティブな状況であったことを理解して頂きたいです。我々は円高、税高、デフレの悪循環のさなかにいました。しかし、この悪循環はアベノミクス以降、好転してきています。ただし、問題点はあります。1つ目に変化のスピードが遅いこと。2つ目は利点が日本以外にも波及しているかどうか。3つ目はどの社会層にもいきわたっていると感じられているか、ということです。例えば、我々は東京の約400Km西にある、福井を拠点としており、ここの地域経済はそれほどアベノミクスから恩恵を受けていません。一番利益を得ているのは、証券会社、輸出会社であり、それらが円安の恩恵を受けていると考えています。
ビジネス上でのメリットをお話しますと、海外に12の子会社を有し、売上高の50%が海外からである当社では、円安からは恩恵があり、業績が伸びました。ただし、その一部は「膨張」であって、全てが「成長」という事ではありません。我々のミッションは成長であり、膨張ではないのです。化粧品分野では特に成長し、2006年と2015年を比較すると、化学品は30%、化粧品は159%の売上の伸びとなりました。
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Q.どの分野がさらなる成長をすると見込んでいるのでしょうか?日華化学の未来をどのようにみていますか?
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将来の前に、過去についてお話します。日華は私の祖父が立ち上げました。彼は非常に強い信条と哲学で会社を築き、我々は今でもその哲学に価値を置き、重要視しています。1つ目は、「製品を売るにあらず、技術を売る」。私たちはソリューションプロバイダーであるべきだという意味です。2つ目は特にユニークなもので、「大家族主義」です。そしてこれは日本の日華のみならず、全拠点含めて浸透している信条です。この強い価値信条は、我々が1948年の福井地震を経験したことによります。祖父の家族は、何人かが亡くなり、また工場も完全に倒壊し、苦しみました。私たちの家族だけではなく、福井県全体が悲しみに包まれました。しかしながら、我々は事業を続けるために強い気持ちを持ち続け、6月の震災後、同年12月には新工場を稼動させました。70年程前の話ですが、これは今考えても極めて驚くべき速さです。
会社はできるだけ早く工場を立ち上げることをミッションに団結していました。3年後、さらに事件が起こりました。朝鮮戦争が終結したのです。戦時中は原料が重宝され、祖父は値上がりを見込み、たくさんの原料を購入していました。ところがこの計画は逆効果でした。朝鮮戦争は休戦協定で突然終わり、原料価格は大幅に下落しました。会社は倒産寸前でした。そのとき、祖父はリストラを断行しなければならず、70人いた社員を35人まで減らしました。祖父は、身内に近い人から解雇していきました。おかげで会社は倒産せずにすみましたが、祖父は、今後はこのような経験を二度としないと誓いました。全従業員が家族のようなものですから、私たちの家族を守っていかなければなりません。大家族主義は、60年以上前にスタートしています。
そして8年前のリーマンショックでも大きな打撃があり、その際売上高は10%、経常利益は80%近く減りましたが、私はグループ全従業員の前で、誰も解雇しないことを約束しました。しかし、私も含め役員の給与をカットするだけでなく、社員へのボーナスも通常2.5ヶ月だったのを1ヶ月と、最低の額に減らさざるをえませんでした。「皆で一丸となって、コスト削減の案を考えてほしい。どんなアイデアでもいい。皆自分が経営者だと思って、コスト削減のアイデアを実行してほしい」とお願いしました。すると、およそ20~30%のコストダウンが実行できたのでしょうか、我々は何とか生き延びました。この強い哲学はきっと守られており、むしろ強くなっていることを感じました。これはそう大きな会社の話ではありませんが、決して小さい話ではありません。
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Q.日華化学は、日本全体と同じく困難なときを幾度となく経験し、家族のように団結し乗り越えてきました。これは日華のコアな企業文化の一つであり、困難な時を辛抱しやりぬけた重要な信条に起因するのでしょう。この文化は未来の基礎になりえると考えていますか?日華の未来はどうなるのでしょうか。
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未来は会社の伝統の先にあると信じており、これからも問題解決型企業として継続的なイノベーション、大家族主義文化、顧客主義を重視していく中で作られていくでしょう。我々の1番のモットーは、需要家に奉仕すること、2番目は会社の繁栄。3番目は社員の幸福です。言い換えれば、顧客満足、社員満足、そして利益。この3つが社是となっています。
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Q.日本は革新と先端技術の代名詞であります。日華化学は、特に新しくできる日華イノベーションセンター(仮称、以下「NIC」)も、革新と先端技術の優れた具現化であることを確信しています。建設中の、このエキサイティングな施設について、またこの施設を未来の成長に向けてどのように使用していくのか、教えていただけませんか。
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私たちの利益は年間3000万ドル(30億円)です。2000万ドルは化学品、2000万ドルは化粧品からで、うち1000万ドルを新規事業のために使っており、3000万ドルが利益として残る。この1000万ドルが非常に重要だととらえています。もしこれがなければ利益が4000万ドルになりますが、この1000万ドルの費用が将来へのすばらしい資産のひとつになると考えています。そうするためにも、我々は顧客に近づけるよう成長しなければなりません。顧客とコミュニケーションをとり、情報を提供し広める。このような外部との関係は非常に重要です。我々の本社は福井であり、東京からは遠いですが、これがハンディになるとは考えていません。NICは、世界中から集まった情報を、東京ではなく、福井から発信するシンボルであります。
NICは宮殿というよりも、イスタンブールのバザールのようなものです。何かほしいものがある場合、人が溢れ活気に満ちているバザールには見つかるまで何度か足を運ぶと思いますが、宮殿には探しに行かないでしょう。宮殿は一度見れば十分じゃないですか?宮殿はすばらしいところですが、私は探しものをしに何度も行きたいとは思いません。ですので、我々はこのNICをバザールのようなものだと捉えています。
我々は、NICで何が行われているのか、また私たちのおもてなしをどのように感じてもらえるか、顧客やビジネスパートナーとやりとりを交わしたいと思っています。私たちの価値は製品ではなく、製品イノベーション、顧客サポート、そしてそこにいるメンバーそのものです。これが私たちの価値提案です。NICを、こういった価値提案の場としたいのです。
このコンセプトは非常に明快です。会社が選抜した40人の若い社員で、将来のありたい姿を議論しています。ケミカルしか生み出さないのではなく、より革新的で情報を広げていけるように働くスタイルを変えるにはどうしたらよいかを話し合い、そうするにはどのようなイノベーションセンターがよいかを決め、集まる毎にコメントを集め、東京の建築デザイナーとも毎回ミーティングを実施しています。製品を生み出すだけではなく、皆が働きたいと思う場所にするために議論しているのです。我々がデザインするこのイノベーションセンターは、開発者をはじめ、働いているすべてのメンバーがやる気に満ち、創意工夫を持った仕事ができる場所となるのです。
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Q.NICはグローバルな成長を続けようとするきっかけとなりえますか?日華は非常にグローバルで国際的な顔を持っていますね。1968年の台湾をはじめ、日華は8つの国と地域に拠点を広げています。グローバルな展望はどのようなものですか。またアメリカはどの事業にとって重要な拠点として考えられているのでしょうか。
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我々のゴールは無機的な成長ではなく、有機的な成長です。おそらく、なぜこんなことを言うのかと思われるでしょうが、我々はとても強い企業ポリシーを各国にある日華グループ会社間で分かち合っているからです。我々はアジアのテキスタイルケミカルでナンバーワンになりたいと思っていますが、それは量的な意味ではありません。クライアントに「最初に連絡をもらう」企業になりたいのです。もし顧客に問題があれば、日華を最初にヘルプを求める企業として考えてほしい。何か新しい、とても革新的なものをデザインしたかったり、顧客からの口コミで、日華に電話し、「何か革新的な製品はありませんか?」と。すると我々の製品は世界中の国々に行きます。日本やアジアだけでなく、アフリカ、ヨーロッパ、そしてアメリカにも。我々は、「これが私たちのソリューションです」とか「この製品があなたのデザインやアイデアにフィットするものです」と答える。これが私の目指していることです。
その結果として、私たちの売上と利益が上がる。これが私の会社の存在目的です。「この売上がこの日までに必要なんだ」という観点ではなく、我々は顧客のために製品を提案し、彼らのニーズに合わせてトータルソリューションを創造したいのです。
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Q.CSRへの取り組みは、もはや企業の選択肢としてあるというよりは、社会的な規範となっています。社会は時に化学メーカーを環境破壊者と結び付けますが、私たちは貴社が、例えば環境に易しい製品を開発し、環境へのインパクトを最小化するために激務していることを知っています。これがG7サミットでの重要な案件となることを考慮し、環境へのインパクトが最小であることを保証するために、日華化学がとっている対策は何ですか。
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最近我々の最重要顧客のひとつが、グリーンピースのオピニオンリーダーになりました。彼らはグリーンピースの環境保護コンセプトを、世界的な大手スポーツメーカーやファッションメーカーである全カスタマーに広げ、彼らもそのコンセプトに従っています。そのコンセプトに大きく関係しているのが当社の非溶剤製品です。
非溶剤、または水系、水溶性の製品は撥水剤のひとつの種類です。他にはフッ素系があり、これは極めて安全な製品ですが、グリーンピースはフッ素が好きではありません。フッ素は撥水機能としてとてもすばらしい製品で、スポーツ、スキーウェア、水に弱いものに対して、我々はフッ素撥水として知られる製品を生産してきました。しかし、社会の要請に応えるため、当社は非フッ素系の撥水剤も開発しており、販売も行っています。
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Q.地域・団体や社会と関係していくことが日華の成功に不可欠ですが、なぜG7リーダーにとって、意思決定をする時には、その議論が起こっている核となるところでコミュニティを形成することが大事だとおっしゃったのでしょうか?
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日本企業の強みは、私たちが社会の要求に応えられ、動かされてきたということだと考えます。例えば、昔四日市市に喘息問題が起きたとき、我々は空気汚染について話しました。その後、煙突から蒸気以外のものを出す工場はなくなりました。
水俣災害で工業廃水の影響により食料に水銀が入るという大きな問題が起こった後には、日本中の廃水がとてもきれいになりました。現在、過去と比較して、東京の多摩川でさえ清流を好む鮎が泳ぐようになりました。日本企業は問題があろうとなかろうと、解決するためによく働きます。G7が環境についてメイントピックのひとつとして話し合うのは大賛成です。
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Q.信用と自信がアベノミクス成功への鍵であり、日本が最近、日本社会のみならず、国際社会からも信用不足、自信不足に苦しめられているとされかねません。これはまさに我々がレポートで変えようとしていることです。日本への投資や、日華のような日本企業とのビジネスを未だにためらっているだろう国際社会に何か言いたいことはありますか?また、日本の未来は明るいと言えるのはなぜですか?
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私はただ、我々のような小さい企業でもアジアのような海外でも成功しえることを言いたかっただけです。これにはひとつ理由があり、それは信用です。我々は進出した先々の国に信用され、彼らは我々が去っていかないことを知っているのです。
例えば、問題や不満を持った顧客がいるとしますと、経験から知っていることは、このような問題に直面したとき、外国では、いかにクレーム金額を小さくするのかを考える企業もあるようですが、当社は問題そのものを解決しようとベストを尽くします。これが信用が生まれるところであり、ほとんどの日本人の考え方も同じだと考えます。
日本企業と外国企業の一部との一番の違いは、我々日本企業は判断基準を正しいかどうかにおき、利益になるかどうかで考えないことです。もちろん、外国にも偉大な会社はいくつかあり、彼らのすべてが利益のみで判断しているとは言いません。
日本への投資を検討している方がいたら、我々はたくさん提供するものがあると思いますし、彼らには我々からたくさん気づきを得て頂けると思います。しかしながら、それは東京でよりは、田舎の福井の方が強いと思っています。福井は大家族主義、大家族社会です。両親は仕事に行き、祖父母が子供たちを育てる場合が大変多いのです。祖父母たちは道徳的にしっかりしていて子供たちもとてもまじめな子に育ち平均的にハイレベルです。またすばらしくモラルのある人に育ちます。福井の学校教育も大変高度であるため、学力の観点でもモラル同様ハイレベルです