新発見のダメージ・メラニンクラックを
選択的に補修する新技術を開発。「FLOWDIA」
2018年3月 取材
2017年9月に全面リニューアル
サラサラ軽く、するんとまとまる新質感を実現
美容室向け頭髪化粧品事業のデミコスメティクスでは、2017年9月に、主力ヘアケアブランド「FLOWDIA(フローディア)」〈特許出願中〉を全面リニューアルいたしました。従来知られていなかった毛髪ダメージを発見し、それを選択的に補修する新技術を開発して商品化(サロン内ケア用11アイテム、ホームケア用11アイテム)。ベタつきのない髪本来の艶髪を実現できると、高い評価をいただいています。
今回の商品化にあたって、研究面で中心的な役割を果たした二人に話を聞きました。
藤井 義宣
デミ コスメティクス カンパニー
化粧品研究部
●商品開発担当
商品開発第1グループ サブリーダー
天谷 美奈子
デミ コスメティクス カンパニー
化粧品研究部
●基礎研究担当
基礎研究グループ 主任
毛髪を縦断面で解析
新フローディアの開発にあたっては、髪本来の自然な艶感や、サラサラとした指抜けを実現することに注力しました。なぜなら、従来のヘアケア商品は補修成分がダメージ箇所だけでなく、髪全体に過剰に付着してしまうことでベタベタとした状態になり、重さや硬さを感じやすい不自然な質感になってしまうことが多かったからです。
ダメージのある部分だけを選択的に補修する――。そんな商品開発を目指す過程の中で、私たちは毛髪にある色素(メラニン)に着目しました。メラニンがヘアカラーや紫外線によるダメージを受け萎縮することは知られていましたが、その周辺も大きな空隙(すきま)ができていることを発見したのです。それまでは毛髪を解析する場合、横断面で解析するのが一般的で、メラニンは小さな粒状で点在すると考えられていましたが、当社の新たな試みで縦断面からも解析してみたところメラニンは縦にいくつも連なった構造で、私たちが認知していたものより約10倍もの大きさに達していたのです。これだけ大きな組織に空隙があれば、毛髪はうねりやすく、光が散乱するため艶も失われてしまいます。また、縦方向に裂けやすくなり、枝毛の原因にもなるなど、ケアせずに放置することでさらなるダメージを引き起こしてしまいます。
そこで当社では、この空隙を「メラニンクラック」と名付け、この部分に特化したケア商品の開発に取り組みました。
バルーン状に定着して補修
この深刻な毛髪ダメージを招くメラニンクラックを補修するために、私たちは試行錯誤を繰り返し、ダメージ部分だけに選択的に補修する新たなケア技術「バルネイドシステム」を開発しました。「バルネイドシステム」は、メラニンクラックに蓄積しやすいカルシウムをターゲットにすることで、補修成分がダメージ部分だけに選択的に反応し補修します。その際、補修成分が流れ出ないよう水風船のようにバルーン状で包んで定着させることで、高い補修効果が期待できます。 40代女性をモデルにした実験では、ブリーチ後の毛髪でメラニン組織に占めるメラニンクラックの比率が24%見られましたが、「バルネイドシステム」によるトリートメント施術を1回行うと、それだけで7%にまで低下しました。これはダメージの少ない生えたばかりの部分の毛髪(メラニンクラックの比率13%)よりも少ない数値となります。 実際、新フローディアを体験された方々からも高い評価をいただいており、これまでで全国3,000店以上のサロン様にお使いいただいております。さらに、2018年6月にはフローディアの新ラインも発売する予定で、最高峰のヘアケアブランドとして今後もお客様の求める商品開発に努めていきたいと思います。