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事業・製品情報

薬剤から工場設備まで総合的に提供。
お客様の「使い勝手」を追求し支持を獲得。

2020年3月 取材

大橋 正幸

化学品部門
クリーニング&メディカル事業部
リネン推進グループ
リーダー

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吾田 圭司

界面科学研究所
クリーニング開発グループ
サブリーダー

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「リネンサプライ」とは、シーツ、タオル、クロス類等の繊維製品(リネン)を、ホテルやレストラン、病院等に貸し出し(サプライ)、使用後に回収・洗濯仕上げをする、リースとクリーニングの複合サービスのことです(※右記イラスト参照)。日華化学では、リネンサプライ工場で使用する洗剤や仕上げ剤などの薬剤を開発・販売するほか、グループ会社と連携して洗浄工程の効率化を促進する設備やシステムも提供し、さらなるシェアアップを目指しています。開発・営業の最前線に立つ二人に話を聞きました。

「現場の声」を開発に生かす

当社は1941年の創立以来培った繊維業界での経験と技術を生かし1958年にクリーニング分野に参入しました。「ホームクリーニング」と呼ばれるクリーニング店で使われる業務用洗剤をメインにスタートし、シェアトップへと成長しました。さらに、2003年にはリネンサプライ市場に本格参入し、東京・大阪・名古屋の全国3エリアにおいて「リネン技術発表会」を企画開催、好評を得ることができ、これを機にリネンサプライ業界でも当社の認知度が高まりました。

リネンサプライでは後発となる当社ですが、長年に及ぶ繊維加工用薬剤の知見を武器に、現場の意見やニーズに応えていくことで市場開拓を進め、大手顧客からの信頼を積み上げてきました。最初にヒット商品となったのは、強力な洗浄力を発揮する「再洗い」専用洗剤です。リネンサプライ工場では大型の機械で繊維製品をまとめて大量に洗浄します。通常の洗剤では汚れが落としきれなかった場合にもう一度機械に入れて洗うことを「再洗い」といいますが、再洗いでも汚れが落ちなければその工程を繰り返すか、あるいはその繊維製品を破棄することになります。洗浄回数を減らすことは繊維製品の劣化防止やコスト削減に直結するため、1回の再洗いで確実に汚れを落とす当社の製品は高く評価され、一気にシェアを拡大しました。さらに、繊維加工用薬剤の技術を応用して開発した防汚加工剤は、油汚れに弱いポリエステル繊維の汚れを次の洗濯の際に容易に落とせると大変好評を得ました。
これらの薬剤は、発売から今に至るまで変わらず多くのお客様にご支持いただいています。

グループシナジーで提案の幅を拡大
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薬剤集中管理システムで、タンク内の薬剤残量を遠隔監視。複数の工場を一元管理することも可能。

薬剤開発においては高機能・環境配慮はもちろん、お客様にとっての「使い勝手の良さ」という付加価値に留意しています。この考え方が、リネンサプライ工場における省力化の新提案につながっています。

リネンサプライ工場では洗浄設備で使用する複数の薬剤をそれぞれの専用タンクに手動でセットし、目視での定期的な薬剤残量の確認が必要でした。一方、作業者の高齢化が進み、人手不足・安全管理への対応が急務となっています。これを受け当社では工場の自動化・省力化を支援するため、薬剤の「自動投入機」を開発しました。また工場によって洗浄設備や取り扱う繊維製品が異なるため、自動投入に適した液体薬剤のラインナップも強化しています。加えて近年は薬剤の投入を含め、工場各所に設置された薬剤タンクの残量の監視・管理を遠隔で一元的に行う「薬剤集中管理システム」を、グループ会社の江守エンジニアリング(※)と連携し開発・提案しています。

薬剤とシステムはそれぞれ別の会社が請け負うリネンサプライ業界にあって、当社は他社に先駆けてその両方をワンストップで提供し差別化を図り、トラブル時も包括的に対処できるなど、お客様の負担軽減に貢献しています。自動投入機は現在までに100件を超える導入実績があり、新たな薬剤集中管理システムについても、「タンクの巡回時間が大幅に減った」「一日の薬剤使用量が管理でき便利」など好評を得ており、さらなる導入を見込んでいます。

私たちが目指すのはお客様に真っ先に「日華化学に相談しよう」と思っていただける存在になることです。実際に、自動投入機や薬剤集中管理システムを手がけてからは、工場の計画段階からお客様にお声がけいただくことが増え、当社への期待がより大きくなってきていることを実感しています。

リネンサプライのサービスはさまざまな業界で採用されていますが、当社ではホテルリネンのほか、安定した需要が見込める病院リネン、食品工場を中心にユニフォームの衛生管理のニーズが高まっている産業リネンの3分野に注力しています。さらに、環境配慮の面から、将来的にはリネンサプライ業界全体が薬剤の使用量を可能な限り抑える方向に進んでいくことは間違いありません。そこでは、汚れが落ちやすい繊維製品の開発・加工から携わっていく、という当社ならではのアプローチが優位性を発揮できると自負しています。

当社は現在、ホームクリーニングとリネンサプライを合わせたクリーニング業界向け薬剤で国内シェアナンバーワンを誇ります。リネンサプライに限定するとシェアは約15~16%ですが、2025年には30%にまで伸ばし、リネンサプライ単独でもトップの座を狙います。今後もグループトータルの技術力を生かして、他社との差別化を図りながらお客様のサポートに努めてまいります。

用語解説

(※1)江守エンジニアリング
1995年創業(本社:当社敷地内)、2015年に買収した当社子会社。主に工業用で使われる各種システム・設備の設計・販売から、施工・据え付け保全業務等を手がけています。