セレンディピティ - 光硬化型ウレタン樹脂 -

刺激と好奇心を原動力に、新しい試みが動きだす。

みんながアイデアやプロトタイプを持ち寄る場所は、研究者にとって、ワクワクする楽しい空間です。ここを訪れるお客さまとワクワクを分かちあい、刺激や好奇心を原動力に、社内外の枠を超えた研究開発の試みが動き始めています。

ガーデンスクエアで日常的に使われる7mのハイテーブルは、県産杉と光硬化型ウレタン技術のコラボレーションから生まれた。

ガーデンスクエアで日常的に使われる7mのハイテーブルは、県産杉と光硬化型ウレタン技術のコラボレーションから生まれた。

ヘア サイエンス スクエアのガラス壁に貼られたプロジェクター用透過型スクリーン“Dia Lumie”(ディアルミエ/2017年発売)。広視野角で、どこからでも映像が見える。

ヘア サイエンス スクエアのガラス壁に貼られたプロジェクター用透過型スクリーン“Dia Lumie”(ディアルミエ/2017年発売)。広視野角で、どこからでも映像が見える。

展示スペースであるオープンスクエアのショーキューブには、福井県産杉の集成材を使用している。触感の優しいハードコート剤は、当社の光硬化型ウレタン樹脂。

展示スペースであるオープンスクエアのショーキューブには、福井県産杉の集成材を使用している。触感の優しいハードコート剤は、当社の光硬化型ウレタン樹脂。

エレベータホールには、越前和紙の工芸作品が明かりを点す。デザインは小堀哲夫氏で、当社の脱墨剤を使用した再生紙が使われている。

エレベータホールには、越前和紙の工芸作品が明かりを点す。デザインは小堀哲夫氏で、当社の脱墨剤を使用した再生紙が使われている。

NICCAのロゴマークをデザインしたシンボルソファ。ここでは、当社の水系ウレタン樹脂を用いた人工皮革が使用されている。

NICCAのロゴマークをデザインしたシンボルソファ。ここでは、当社の水系ウレタン樹脂を用いた人工皮革が使用されている。

Open Innovation福井県産杉の特長を使った集成材に新しい可能性を発見

●福井県×界面科学研究所ひらめきと、思いがけない偶然。

ガーデンスクエアに置かれた、7mのハイテーブル。福井県産杉を使い、界面科学研究所が開発した光硬化型ウレタン樹脂で天面をコーティングした家具は、2つのひらめきから生まれました。開発のきっかけは、NICの設計を手がけた小堀氏、家具メーカーの㈱オカムラ、福井県の木材職人が一堂に会し、県産杉の使用部材を見極めるワークショップを行ったときに遡ります。ワークショップでは、県産杉特有の黒い色と通常では規格外になる色を組み合わせた集成材が、温かみがあり魅力的であるという新しい価値を発見。そこに、自社で取り組んでいるウレタン技術を、県産杉のコーティングに使いたいという社長のひらめきが加わりました。そのとき、偶然にも近くを通りがかった当社の開発部長が社長と目があった瞬間、新しい検討テーマとして動き出したのです。それは、NIC竣工までわずか半年たらずというタイミングでした。

福井県産杉を実際に手に取り確認する小堀氏。

福井県産杉を実際に手に取り確認する小堀氏。

●木材×光硬化型ウレタン樹脂長年の知見を活かし、未知の素材に挑戦。

界面科学研究所では、自動車の内装用パーツなど樹脂成型物へのハードコート材の開発を行っています。また、人工皮革用など柔らかく伸びるポリマーの設計は、繊維加工の経験から得意としているものでした。杉の集成材のように傷つきやすく歪みが起きやすい素材には、硬くて伸びるポリマーが適しているのですが、耐衝撃性が弱いという課題がありました。しかし、界面科学研究所では衝撃を与えてもヒビ割れが生じず、曲線のある素材にも対応できるポリマーの開発がすでに検討されていました。木材への処理は経験がなく未知数でしたが、長年の知見を活かしていくつかの処方を絞り込み、天然由来のものを使用したウレタン樹脂を選定。県産杉に適した、光硬化型ウレタン樹脂の開発にいたりました。

加工時には硬くて伸び、その後強度のある仕上がりを同時に実現。

加工時には硬くて伸び、その後強度のある仕上がりを同時に実現。

光硬化型ウレタン技術とのコラボレーションで実用化に成功。

●ウレタン樹脂×塗料×家具県産杉から、新しい展開がスタート。

界面科学研究所のウレタン技術に、オカムラの家具設計・デザインと協力会社の塗装技術が集結し、7mのハイテーブルは短期間で完成しました。NIC完成後、毎日、多くの社員に食事やミーティングの場を提供しているハイテーブルは、今も傷ひとつなく良好な手触りを維持しています。NICでは、この他にもNICCAの技術を紹介するショーキューブや打ち合わせ用のミーティングキューブなどに、ウレタン技術を活かした県産杉を活用しています。オカムラでは、本物志向を提供できるとして、光硬化型ウレタン樹脂を塗布した杉の天板を用いた家具の販売を決定しました。界面科学研究所では、木材への展開から新たに得られた知見を活かし、さらなる高機能性ポリマーの開発に挑戦しています。

コーティングの条件をいくつか試して最適な状態を探す。

コーティングの条件をいくつか試して最適な状態を探す。

毎日多くの社員に食事やミ加工時には硬くて伸び、その後強度のある仕上がりを同時に実現。ミーティングの場を提供している長さ7m のハイテーブル。

毎日多くの社員に食事やミ加工時には硬くて伸び、その後強度のある仕上がりを同時に実現。ミーティングの場を提供している長さ7m のハイテーブル。

ウレタン樹脂は、私たちの身の回りのさまざまなモノに使われています。

ウレタン樹脂は、私たちの身の回りのさまざまなモノに使われています。