協働 - Le POLISSAGE(ル ポリサージュ)-
「創造の市場」にあふれる、新しいプロジェクトのシーズ。
社内外から持ち込まれたプロトタイプ、いろんな分野の耳寄りな情報や刺激的なアイデア。事業領域の垣根を超えた研究の交流が、オープンイノベーションを推進し、新しいプロジェクトを次々と生みだしています。
世界初の新規染料「グロス染料」を配合したデミの新商品 Le POLISSAGE (ル ポリサージュ)。
毛髪科学研究所の研究員による、白テーブルでのミーティング。基礎研究グループと商品開発グループにて、毛髪科学に基づいたカラー剤型化検討の議論が行われた。
その日の気分や仕事内容にあわせて、毎日場所を選べるフリーアドレス。ちょっとした相談事も、高さ4mのホワイトボードを使ってすぐに意見を交わすことができる。
化粧品の商品開発に欠かせない情報交換の場「ヘア サイエンスス クエア」。毛髪科学の基本をしっかり深め、お客さまや業界にセミナーや講習会を開催。
毛髪科学研究所の実験室でのシャンプーの試作。
毛髪科学研究所と界面科学研究所の研究員によるミーティング。事業の垣根を超えて、積極的に意見を交わす機会が増えている。
Open Innovation 産学で協働し、事業の垣根を越えて完成した、世界初の新規染料
●毛髪科学研究所×大学 常識にとらわれずにやってみる。
毛髪科学研究所と大学との共同研究は、当初、一般的なヘアカラー剤であるアルカリカラーの褪色プロセスを解明する目的でスタートしました。従来、美容業界では、アルカリカラーに使われる酸化染料を髪の内部で酸化反応・発色させることが、しっかりと染色させるための常識とされていました。しかし、毛髪にどのように染料が染着しているかを分析し、染着機構の解明を進める共同研究の過程で、あらかじめ合成し発色した染料を用いても、しっかりと毛髪染色させることができることを発見します。これまでの常識にとらわれず、合成染料による染色を試したことが、新しい染色方法の開発につながったのです。
新規染料の合成実験。
●イノベーション×クリエイション新しい開発プロジェクトの始動。
あらかじめ発色させた新規染料を用いれば、染料の酸化に必要な過酸化水素は使わなくなるため、毛髪のダメージを低減することが可能となります。さらに、染料の分子量が大きいことから、アレルギーの発生リスクを低減したヘアカラーの可能性も見えてきました。実は、新規染料を用いたヘアカラー剤の発売は2018年9月に目標を掲げていましたが、その時点で40を超える課題がありました。そこで、イノベーションカラー剤開発プロジェクトを発足させ、共同研究で生まれた新しい染色方法の染料合成、知的財産、法規、オペレーションに関して、各部署と協力しながら、スピーディーかつ網羅的に検討を開始することになりました。
ウィッグを使って剤の評価を行う。
「グロス染料」配合 Le POLISSAGE(ル ポリサージュ)の開発。
●毛髪科学研究所×界面科学研究所 コラボレーションによる商品開発。
毛髪科学研究所では、新規染料の構造や染色特性の確認を行いました。そこで染料の特徴は掴めてきたものの、新規染料に最適な染色剤の開発には、純度が高い大量の染料が必要でした。しかし、毛髪物性評価や既存原料を購入しての剤型化が中心であり、新規成分を安定的に合成する方法は見出せずにいました。
そこで事業の垣根を超え、長年合成技術を培っている界面科学研究所に協力を求めることになりました。NICを舞台に、ミーティングの場、合成する場、染色する場へ、毛髪科学研究所と界面科学研究所のメンバーがそれぞれ足を運び、毛髪科学・ヘアカラーに関する知識と合成における課題・対策を共有。迅速に検討を行い、試行錯誤を重ねた結果、純度の高い染料の合成に成功します。合成した染料のなかから十分に毛髪染色性を示す4つの染料を選んで「グロス染料」と名付け、世界初となるINCI名(化粧品成分の国際名称)を取得。グロス染料を配合した新しい染色剤のヘアカラー「ル ポリサージュ」は、多くの課題を異業種が絡み合って連携することで完成することができました。
毛髪染色部位の顕微鏡観察。
カラー剤の染毛試験。