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開発最前線
タイトル

マウンテンパーカーなど登山ウェアやスキーウェア、テントや傘などの表面には水分を弾き、汚れも付きにくくする加工が施されています。この撥水撥油加工に多く用いられているのが「フッ素系」撥水撥油加工剤(以下撥剤)。日華化学も30年ほど前から製品化してきました。しかしごく微量含有していたPFOA(ペルフルオロオクタン酸)の人体への蓄積性が指摘されてから、“PFOAフリーの撥水剤”開発が各社で競われるようになりました。いち早く開発に成功した日華化学はその後も改良を続け、撥水撥油ともに優れた性能を発揮するNKガードSシリーズを製品化。世界に販路を広げています。

撥水撥油剤開発者の声


繊維事業部
研究開発部
企画開発グループ
左 : 奥村勝也 主席
右 : 織田 拡

フッ素は地球上に多く存在する元素です。その化合物(フッ素化合物)は「熱や薬品に強い」「水や油をはじく」「滑りやすい」といった特性を持ちます。この特性を生かして、衣料品、アイロンやフライパンなどの日用品、建物の外壁塗装などの表面コーティングに幅広く使われています。

ところが2000年になると、米国でこれらフッ素化学製品に含まれる“PFOA(ペルフルオロオクタン酸)”の人体への蓄積性が問題視されることに。PFOAはフッ素系撥剤を製造するときにごく微量含有される物質であり、日華化学の製品にも含まれていました。  PFOAは健康被害との関連性は報告されていませんが、人体に摂取された場合、排出が遅いことから体内での蓄積が危惧されている化学物質です。こうしたことから米国環境保護庁は2015年までにPFOAとその前駆体を全廃する計画を発表。これを受けフッ素化学製品メーカーは“PFOAフリー※撥剤”の開発にこぞって乗り出したのです。 ※フリーの定義は検出限界(5ppb)以下。

撥剤は繊維の表面に均一に塗布し、フッ素成分を分子レベルで規則正しく並ばせ繊維と結合させねばなりません。そのためフッ素成分(フッ素系ポリマー)を溶液の水中に均一かつ安定に乳化させる必要があります。これがうまくいかないと十分な撥水撥油機能や洗濯耐久性を得られないばかりか、繊維のゴワつきや変色などのトラブルを引き起こします。  日華化学は30年間のフッ素系撥剤の開発で蓄積されたノウハウを生かし、安全性が保証されているポリマー骨格と界面活性剤(乳化剤)を様々に組み合わせながらPFOAフリー撥剤の開発に取り組みました。

開発は難航を極めました。PFOAを含有しないタイプでは洗濯耐久性が落ち、生地の風合いもゴワついたものになったり、繊維への加工中に汚れが発生して繊維に付着するなどのトラブルも続出。開発スタッフは実際に製品を使う取引先の工場に出向き、実機を用いて製品の改良を重ねるなどの努力を続けました。こうして工場での試験を許可していただくなどお客様先の協力もあって、撥水・撥油両機能を備えたNKガードSシリーズが誕生したのです。

撥水性試験の写真


開発はさらに続きます。繊維用撥剤市場には、日常生活上の「撥水撥油」機能を満たせばよい分野と、「より高度な撥油性」を要求される分野があります。市場では後者のニーズが増えつつあります。「より高度な撥油性」の機能が求められる理由は、「ウェアの高性能化」です。  最近の登山ウェアなどでは防水機能を高めるために、生地の表面に撥剤を塗布し、さらに裏面には樹脂を塗布するという二重の加工が施されています。ところがこの樹脂を塗布する段階で厄介な問題が起きるのです。  繊維の加工工程上、樹脂は工業用油で薄めて使用されているので、その工業用油もはじく、より高度な撥油性能がないと繊維の隙間から樹脂が浸透し、右の写真のように生地の表面に染み出してしまうのです。こうした加工は繊維加工の最後の工程で行われますから、ここでのトラブルは製品を台無しにしてしまいます。  当社では他社に先駆けてPFOAフリーでありながら、高度な撥油性を持つNKガードS-750の開発に成功。お客様より、高い評価を得ています。  NKガードSシリーズは、環境/人体への安全性と高付加価値・高機能なものづくりを目指すアパレル・スポーツウェアメーカーから注目を集め、国内のみならず海外からも問い合わせが相次いでいます。「PFOA規制」というピンチを技術力で乗り越え、新市場開拓というチャンスに変えることができました。  現在はPFOAをまったく含有しない撥剤の開発に力を入れています。今後も環境により良い製品作りを目指し、開発に取り組んでまいります。ご期待ください。

高度な撥油性比較資料


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