開発最前線
タイトル

従来、撥水剤に高い撥水機能を持たせるためには「フッ素」が必要でした。日華化学はそのフッ素を使わずに高い撥水性能をそなえた「非フッ素系撥水剤」の開発に長年挑んでいます。その技術の結晶がいま、注目を集めています。

撥水撥油剤開発者の声


繊維事業部
研究開発部
コアケミカル開発グループ
左 : 畑中 貴浩 グループリーダー
右 : 織田 拡

2011年7月、国際環境保護団体のグリーンピースが化学物質による水質汚染をなくしていく"デトックス"キャンペーンを開始しました。時を同じくしてアディダス、ナイキ、プーマなど世界的スポーツ用品メーカーやH&M、GAPなど大手アパレルメーカーが「ZDHC(Zero Discharge of Hazardous Chemicals)」という団体を結成し、2020年までに製品およびその製造工程からの有害化学物質の使用・排出をゼロにするとのコミットメントを発表しています。また日本でも2013年1月にユニクロが同様のコミットメントを発表するなど、世界の大手アパレルメーカー等20社以上が有害化学物質排出ゼロに向けて動き始めています。

マウンテンパーカーなどの登山ウェアやスキーウェア、ダウンジャケットやウインドブレーカー等に使用されるフッ素系撥水剤は、水を弾くだけでなく汚れを付きにくくする機能を持ち、衣料やカーテン、ソファなどの繊維商品に幅広く用いられています。当社も30年以上前から研究開発を行い、世界各国の繊維加工メーカーに供給してきました。
通常の撥水剤に使用されているフッ素化合物(パーフルオロカーボン類)は、それ自体の毒性は指摘されていませんが、既出のスポーツ・ファッションメーカーは「有害性が科学的に100%証明されなくても疑わしければ使用をやめる」という「予防原則」に基づいた取り組みを進めています。撥水剤をはじめさまざまな繊維加工薬剤を供給している当社も、こうした世界的な動きをキャッチアップするため環境配慮型の製品開発に力を注いでいます。今回の非フッ素系撥水剤「ネオシードNR-158」の開発もそうした取り組みのひとつです。

日華化学では2007年、すでに非フッ素系撥水剤「ネオシードNR-90」を開発し、製品化しています。しかしフッ素系撥水剤と比較すると撥水性能や耐久性が劣ることから顧客の望む性能にまでは至らず、なかなか業界に非フッ素系撥水剤が浸透しないという状況が続きました。それでも私達は「必ず注目される日が来る」と確信し、非フッ素系撥水剤の開発を継続してきました。今回のアパレルメーカー等による非フッ素化ニーズが高まったことにより、その研究成果が報われるかたちとなりました。

今回の非フッ素系撥水剤の開発にあたり、最も重要視したのが非フッ素系の弱点といえる「耐久性」です。衣類を繰り返し洗濯しても撥水性能を維持する機能を、フッ素系撥水剤と同等レベルにすることでした。さらに撥水性の向上や通気性といった高機能性を実現しながら、繊維の風合いをそこなわないことを目標として開発を行いました。撥水性能や耐久性を向上させるには、繊維の表面に対して撥水剤を分子レベルで、いかに規則正しく繊維と結合させ、安定させるかが大きなポイントとなります。そのためには、 @分子鎖が整然と配列するように設計された化合物(ポリマー)を開発 A開発した化合物を均一に、安定して繊維表面に付着させる方法の確立 という両面からのアプローチを行いました。2013年9月には顧客である繊維加工工場で試作品のテストを実施し、その後改良を加えながら2014年5月に製品化。非フッ素系の撥水剤として高い機能を持った「ネオシードNR-158」は環境配慮に取り組んでいるアパレル企業や工場から、高い注目を集めています。

撥水性試験の写真


日華化学ではネオシードNR-158の販売にあたって、製品を使用する温度や濃度、圧力や時間なども顧客ごとに最適の条件を割り出して提案しています。最適の方法で使っていただき、最良の結果を得ていただけるよう万全を尽くしています。
今後も非フッ素系撥水剤のさらなる性能UPに向けて研究開発に取り組むとともに、こうした顧客の要望にお応えしていくことで環境配慮型製品の開発を推進してまいります。

NR-158の推定撥水構造


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