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事業・製品情報

「EHD」を軸足とする事業構造の大転換により
社会課題の解決と持続可能な成長を目指す

2021年3月 取材

当社グループは新中期経営計画「INNOVATION25」で「EHD(環境/Environment、健康・衛生/Health、先端材料/Digital)」を重点領域に位置付けました。いずれも、今後さらに世界中でニーズが高まる領域であり、当社グループが80年にわたって培ってきた技術、ノウハウが生かせる領域でもあります。3月26日から始動する新執行体制でCTO(※1)に就任しグループ全体の研究開発を統括する、取締役執行役員 界面科学研究所長の稲継崇宏にEHD領域での取り組みの詳細について聞きました。

稲継 崇宏

取締役執行役員
界面科学研究所長

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技術とノウハウを生かしSDGs達成に寄与

当社グループはかねてから主力事業である繊維加工用薬剤分野を中心に、人や地球環境に配慮した製品開発に取り組み、前中期経営計画ではEHS(環境/Environment、健康・衛生/Health、安全/Safety)への貢献をテーマに研究開発を行ってきました。
新中期経営計画「INNOVATION25」では、これまでの環境、健康・衛生に新たに先端材料/Digitalを加えた「EHD」を研究開発の重点領域に位置付けます。この背景にあるのは、全世界の共通目標であるSDGsの達成と持続的成長の実現に、当社グループの技術力でより具体的に貢献していきたいという考えです。
もちろん前中期経営計画で重視していた「安全」についても、引き続き各領域に包括してしっかりと取り組んでまいります。

3つの領域の課題やニーズに先手を打ち応えていく
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・E(環境)の領域

地球環境に関する社会的課題を解決する事業に注力することで、持続可能な社会と循環型経済の実現に寄与します。当社グループではこれまでも、主力の繊維加工用薬剤のフッ素フリー系撥水剤(UP後リンク追加予定)など、環境対応と機能性を兼ね備えた製品の拡充に取り組んできました。
今後はそれらの開発とともに天然由来原料・再生資源等の活用も加速させることで、製造過程、製品性能、製品成分などあらゆる面で環境対応を進め、社会全体のCO2排出量削減に貢献する技術・製品開発に一層注力してまいります。


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・H(健康・衛生)の領域

ウィズコロナ時代に社会の要望が高まっている健康・衛生関連製品の開発を強化することにより、事業化を推進していきます。既に2020年8月には、「生活・環境衛生事業開発室」を設置し、抗ウイルス剤や手指消毒剤など、これまで複数の部署やグループ会社で個別に手がけていた生活・環境衛生に関する事業に横串を刺し統括することで、製品開発を加速させてきました。
また、個別化医療に有用な体外診断薬キットなど次世代医療向けの事業化展開や、感染症予防に役立つ製品開発を推進し、世界中の人々の衛生的で健康な暮らしに寄与します。


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・D(先端材料)の領域

IoTやAIなど最新技術の活用が進むスマート社会の進展により、デジタルデバイスや半導体の需要が急拡大しています。
当社グループでは近年注力してきたフッ素化学品(※2)に加え、2021年から「スペシャリティケミカル事業部」を新設し、既にNICCAイノベーションセンター(NIC)内に次世代材料開発環境を整備するなど、5G・6Gといった次世代通信で必要とされる高周波・低誘電率材料など先端材料の研究開発をさらに強力に推進してまいります。
EHD各領域のより具体的な取り組みなどについては、新中期経営計画「INNOVATION25」説明資料をご参照ください。

2025年にEHD売上比率を50%に

 2019年度の当社グループにおけるEHD領域での売り上げは全体の約25%でしたが、前述のように当領域に一層注力することで、2025年には売上比率を50%まで引き上げる計画です。
EHD領域での成功の鍵は、社会課題にマッチした新製品・新ソリューションをいかに迅速に提案できるかにあると考えます。そのためには、さらなるパートナー企業、大学等との連携によるオープンイノベーションが不可欠であり、その創発の場として引き続きNICをフルに活用していきます。
また、グループ全体で研究開発の状況を一元管理するマネジメントシステムを導入し、開発リソースの見える化と最適配分を進めるほか、実験データなどさまざまなデータを組織全体の知見として蓄積し活用を進めることで研究開発効率を飛躍的に向上させます。さらにAIを用いたデータ解析ツールなどの導入も予定しており、一人ひとりの対応力と生産性を高めながら、新しい試みに挑戦し開発スピードを加速させていきます。
EHDのいずれも当社の技術やノウハウを生かせる、非常に親和性が高い領域であり、グループ全体でのグローバルな連携を一層強化していくことで、「INNOVATION25」を着実に達成し、社会課題の解決に寄与してまいります。既に着々と下準備を進めています。当社グループの今後の飛躍にぜひご期待ください。

用語解説

(※1)CTO
 Chief Technology Officer

(※2)フッ素化学品
 精密機器・半導体・ディスプレイ等の製造設備で使用される潤滑油・グリースをはじめ、スマートフォン・レンズ用の防汚剤など特殊な用途で使用される材料。


関連リンク

・中期経営計画ページ https://www.nicca.co.jp/ir/plan.html
・イノベーション https://www.nicca.co.jp/solution/
・事業・製品情報 https://www.nicca.co.jp/productinfo/