HOME  >  事業・製品情報  >  イノベーションストーリー  >  先端材料  >  DiaLumie®/鮮明な映像を360°の広視野角で実現。

事業・製品情報

DiaLumie®/鮮明な映像を360°の広視野角で実現。

2017年9月 取材

日華化学が初めて製品化に成功
ナノダイヤモンド系プロジェクター用透過型スクリーン

日華化学では、新規事業のひとつとして開発を進めてきた「ナノダイヤモンド」を使ったプロジェクター用透過型スクリーンの製品化に成功し、2017年6月より販売を開始しました。これはダイヤモンドの特性と日華化学独自の分散技術により、従来品では難しかった「高い透過性を保ちながら高鮮明な映像を映し出す」という、相反する技術の両立に成功したものです。新発表の場として出展した同月の展示会では、予想以上の高評価を得て、早くも注目を集めつつあります。これを機に多様な演出ができる画期的な製品として、サイン&ディスプレイ市場へ新規参入していきます。期待高まるこの事業を担うメンバーに話を聞きました。

齋藤 一

特殊化学品本部 新規事業開拓部
ナノダイヤ事業担当

北本 隆志

特殊化学品本部 新規事業開拓部
ナノダイヤ開発担当

下野 明美

特殊化学品本部 新規事業開拓部
ナノダイヤプロモーション担当

透過性と高鮮明の両立を追求
リア面から投影した映像を前方からも鮮明に見ることができる「ディアルミエ」。写真は超短焦点型プロジェクターを使用

今回、新規開発した「ディアルミエ」は、ダイヤモンドの特性を生かし、当社が繊維加工用薬剤などの研究開発で培ってきた分散技術を応用してできた、映像表示用の透過型スクリーンです。
透過型スクリーンとは、プロジェクターからの投影画像を反対側からも見ることができるものです。従来品には、透明度の高いものから不透明なものまでバリエーションがありましたが、私たちは、両立が困難とされていた"透明でありながら、鮮明性に優れたもの"を追求し、そのバランスはトップクラスともいえる製品化に成功いたしました。

360°どこからでも映像が見える

「ディアルミエ」の第1の特長は、スクリーンの「透過性が高いこと」で、スクリーンの向こう側が透けて見えるため、空間に映像が浮かんでいるような演出が可能となります。 第2の特長は「360°の広視野角で、明るく鮮明に見えること」。ダイヤモンドには強いきらめきがありますが、これは"高い屈折率"と"高い光散乱性"という特性によるものです。同様に、微粒子化されたナノダイヤモンドを塗布したスクリーンでも、その面を通過する際に入射光が屈折して前方や後方へと散乱するため、どの角度からも同じ明るさで鮮やかに見ることができるのです。 第3の特長は、「光源の入射角度を問わないこと」。正面から投影する一般的なプロジェクターはもちろん、スクリーンまでの距離が短くても投影できる短焦点・超短焦点型にも対応しており、リア・天井・床面からといったどの角度からでも映し出すことができます。さらに液晶、DLP、レーザーなどの方式も問わず、市販品のほとんどのタイプに対応します。 第4の特長は、フィルム状なので「曲面にも施工できること」で、平面同様360°鮮やかに映像を映し出すため、演出の多様性が提案できます。

  • 入射光に対して全方向に光を放つため、360°の広視野角が実現
  • 広視野角を誇り、曲面への施工も可能
当社の技術を駆使した製品

「ディアルミエ」の開発は、約3年前にスタートしました。当社のコアコンピタンスである界面科学技術(※1)を生かせる新事業領域の開拓に取り組み始め、ナノ材料全般を探索していました。
「ナノ」とは10億分の1ミリメートルの単位で、ある物質がナノサイズの状態で1グラムあったとすれば、その表面積の合計は同じ質量の個体よりも遥かに大きくなります。つまり細かければ細かいほど、それだけ多くの「界面」が生じるため、当社の技術を最大限生かすことができるのです。
その中で、我々はナノダイヤモンドの情報を得て、着目いたしました。ナノダイヤモンドは1980年代後半から工業的に生産され、今日ではロシアや中国を中心に、米国、東欧諸国や日本でも作られています。鋼鉄製の反応容器の中で、原料となるグラファイトなど炭素材料を含む爆薬を爆発させ、その衝撃波から生じる高温・高圧により、ナノダイヤモンド(一粒の粒子径が4~6ナノメートル)の凝集体が得られます。その凝集体を適度な小ささにサイズコントロールして、安全性の高い水系樹脂に分散させた塗工液を調製し、それを高透明な光学用PETフィルム(支持体)の表面に均一に薄膜コーティングして皮膜化させたものが「ディアルミエ」の基本構造です。

2年にわたる研究の結果発売へ

製品開発にあたって特に苦労したのは、ナノダイヤモンド分散液の開発でした。理想とする透過性・高鮮明性を両立させるため、当社の持つ分散技術の中の"微粒子化"という技術を活用しながら、多様なパターンのプロトタイプを作り、トライアンドエラーを繰り返しました。
さらに量産化に向けて、フィルムへのウェットコーティング技術(※2)にも挑み、約2年にわたる試行錯誤を経てようやく製品化に成功し、2017年6月から販売をスタートいたしました。

展示会で高評価を得る

そして新発売PRの場として、同年6月に東京ビッグサイトで開催された「第3回先端コンテンツテクノロジー展」に出展いたしました。この展示会はメディアやクリエーター、エンターテイメント、広告代理店などの業界や、企業・団体をターゲットとして、最新の表現・演出技術が一堂に集まる場で、商談の場としても 絶好の機会でした。
当社にとっては、この業界には初出展ということもあり苦労点も多々ありましたが、非日常的で驚きのある空間が演出でき、数あるブースのなかでも多くの来場者にお越しいただけました。また、スクリーンの美しさや演出に感嘆の声もあり、手応えを感じることができました。
展示会中から多数の問い合わせが寄せられ、発売後すぐに受注が決まるなど、高評価をいただいています。

多様な空間演出品として提案

透過型スクリーンは、ショップの窓ガラスを夜間は広告映像を映し出すショーウィンドウにするなど、すでに商業用ディスプレイとして活用されています。そのなかで私たちは、「ディアルミエ」の"透過性がありながら高鮮明"という特長を生かした提案をしています。例えばミュージアムでは、展示物の前にスクリーンを置いて映像とコラボレーションさせることで、迫力のある見せ方も可能になります。
このような一歩進んだ活用ができる「ディアルミエ」で、数多くの人が集まるスタジアムやライブ会場、イベントやショールームなど、あらゆるビジュアルシーンを美しく効果的に演出し、サイン&ディスプレイ市場における地位を確立させていきます。また2020年の東京五輪・パラリンピックに向けた、デジタルサイネージ(※3)の需要増にも期待できます。

広がる新たな世界

「ディアルミエ」は、生産工程で使われる薬剤など中間材をメイン商材としてきた当社にとって、新たな分野へ参入する製品となりました。今後はさらに販売チャネルを開拓しながら拡販を図っていく考えで、2020年以降をめどに年間売上高5~10億を目指します。
また今回の商品はナノダイヤモンドの「光学的特性」に着目しましたが、今後はダイヤモンドの「熱伝導性の高さ」や「硬度」など、他の特性を生かす製品開発にも取り組んでいく考えです。どうぞご期待ください。

用語解説

(※1)界面科学技術
互いに性質の異なる2つの物質が接する境界面を、浸透・分散・乳化などの現象で制御する技術。
当社はこの技術を用いて、繊維加工用薬剤をはじめとするさまざまな製品を生み出してきました。

(※2)ウェットコーティング技術
水に溶解または分散させた原料を、ベースとなるPETフィルム上にコーティングする技術。

(※3)デジタルサイネージ
屋内外や店頭、公共施設や交通機関などで、看板やポスターなどを電子化して発信する映像表示装置。