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開発最前線

難燃剤の見た目

難燃剤の開発について


日華化学はこのたび、生態系や環境に対して安全な新しいタイプの難燃剤の開発に成功。繊維加工用難燃剤として商品化しました。主にカーシート用ポリエステル繊維の加工向けに、2012年度から本格的に国内外での市場展開をスタートします。従来から難燃剤に用いられてきたHBCD(ヘキサブロモシクロドデカン)全廃の動きの中、いち早く製品化にこぎ着けた日華化学。安全かつ高性能で環境負荷の少ない難燃剤を、世界の繊維産業に供給していきます。

難燃剤の開発者の声

繊維事業部 
研究開発部 機能加工グループ
グループサブリーダー(難燃担当)
左 : 森永 慎一
グループサブリーダー(特殊機能担当)
右 : 柘植 好揮

難燃剤の製品

難燃剤とはその名の通り、可燃性の素材に添加して燃えにくく、あるいは燃え広がらないようにする薬剤で、素材や用途に応じて様々な種類が製品化されています。私たちの身の回りを見渡すと、驚くほどたくさんのものに難燃剤は使われています。例えばカーテンやじゅうたん、車のシートの布地、ゴムやプラスチック、紙や包装材、建材・・・などです。
今回、ご紹介する難燃剤は、ポリエステル繊維用。ポリエステルは繊維の中でも最も生産量が多く、カーシートやカーテンの材料としても用いられており、その大多数には安全性の観点から難燃加工が施されています。そして近年、生態系への安全性の面から、難燃剤成分の見直しが進められています。

難燃剤の開発背景

ポリエステル繊維の難燃剤には、これまで「ハロゲン系」の化合物が多く使われてきました。中でも臭素系難燃剤に含まれる「HBCD」(ヘキサブロモシクロドデカン)は生態系への有害性が特に高い物質と指定され、自動車や繊維業界は全廃に向けてすでに動き始めています。(日華化学でも、2011年末でHBCD系の難燃剤の生産・販売を全拠点で終了しております。)
しかしHBCDを含むハロゲン系難燃剤は、優れた難燃剤と耐久性によって幅広く使われており、代替品もありましたがその性能はHBCD難燃剤には遠く及びませんでした。人体に安全かつ機能性に優れた難燃剤を−こうした市場や業界の声に応えようと、日華化学の新難燃剤開発プロジェクトはスタートしたのでした。
難燃剤について

安全性と難燃性

新難燃剤への代替
新しい難燃剤の開発は2つのステップで行われました。最初はリン系化合物をベースに、安全性と難燃性、ポリエステル繊維への適合性を併せ持つまったく新しい化合物を創造するというステップ(=主原料の開発)。次がこの主原料を繊維加工工程で使える液状の薬剤に加工するステップ。この2段階で開発を進めました。

難燃剤の性能


難燃性を高める

難燃加工と染色工程について

ポリエステル繊維の難燃加工は、染色工程で行われます。染色は、織り上がった繊維を大きな「染色機」の中で染料に浸し、熱と圧力を加えます。そうすると繊維分子の結合が緩み、そのわずかな隙間に染料の分子が入り込みます。冷却すると繊維分子の隙間は閉じ、こうして色落ちしない繊維ができあがります。
難燃物質も染料分子と同時に入れ込むため、分子の大きさがポリエステル繊維の隙間にぴったりと入る大きさでなくてはなりません。大きすぎても小さすぎても駄目。また繊維分子に入り込み、再放出しない構造であることも求められます。
条件はまだあります。加工工程で加える熱や圧力、様々な染色補助剤と混合しても変化しない、染料を変色させない、紫外線と反応して褪色させない、布地の手触りや風合いに影響を及ぼさない、そして何よりも生態系に対して安全−これらをすべてクリアする、まったく新しい化合物の開発に挑みました。
試行錯誤を繰り返し、着手から3年の歳月を経た2007年、ようやく新しい化合物が完成。さらに1年の時間をかけ安全性試験を行い化合物の安全性が証明され、2010年政府によって「※白物質」の認定を受けたのです。
※白物質=新規化学物質として届出のあった化学物質のうち、第1種特定化学物質および第2種監視化学物質、第3種監視化学物質のいずれにも該当しないとされた物質を指す。

繊維加工用の難燃剤製品の開発


繊維向けの難燃剤製品を開発

難燃効果を持たせる
次はこのパウダー状の主原料を、染色工程で使えるように液状の薬剤として製品化するステップです。
一口に「染色」といっても、染色工場によって設備も違えばやり方も違います。使う染料や添加する薬剤も違えば、水質も違う。これらの違いに影響を受けず、繊維への吸着率が高く、安心して加工できる薬剤にします。
ここでは日華化学独自の分散技術と、長年にわたる繊維産業の顧客とのおつきあいではぐくまれたノウハウがフルに発揮されました。こうして2011年、ハロゲン系難燃剤の性能に匹敵する、安全なポリエステル繊維向け難燃剤「ニッカファイノンHF−2200」が誕生、2012年より国内の市場に提供を始めたのです。

新難燃剤の登録申請

HBCD代替を可能にさえる難燃剤

本製品は安全基準の異なる国々の認可を受け、広く世界の市場に向け供給をスタートさせていく計画です。すでに中国や米国に対する登録申請も進めています。ニッカファイノンHF−2000シリーズを、非ハロゲン系繊維向け難燃剤のグローバルスタンダードに育てていければと願っています。今後はさらなる性能向上と環境負荷低減を目指し、例えば難燃剤の吸着率の向上や染色廃液の低減などに挑みます。日華化学はこれからも環境にやさしい製品づくりを行っていきます。

難燃剤の実験を行っている研究者


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