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分散均染剤の開発最前線


繊維産業のボーダレス化に対応、分散均染剤のグローバルな標準品質化を実現。

ポリエステルの染色加工に欠かすことができない「分散均染剤」。日華化学の分散均染剤「ニッカサンソルトRM-340シリーズ」は昭和50年代に開発され、“業界定番”として広く用いられてきた製品です。日本ですっかり定着したニッカサンソルトRM-340シリーズはその後、繊維加工会社の海外進出とともに海外でも広く用いられるようになり、日華化学の各海外拠点でも生産され、それぞれの国のお客様に供給しています。そして今日、国境を越えたものづくりが加速する中、薬剤には厳密な「標準品質」が求められるようになりました。国ごとに調達する原料や生産設備の違い、安全基準などの違いを超え、高度な同一品質を実現したのがニッカサンソルトRM-3400シリーズです。

分散均染剤の開発者の声

 

 

研究開発本部
国際技術開発部
GPM アパレル・インテリア担当
高村 雅彦

 

 
ポリエステルの染色には「分散染料」という特殊な染料が使われます。生地を「分散染料」の中に浸し、130℃にもなる高い熱を加えます。高熱を加えることで繊維の分子間に隙間ができ、その隙間に染料の粒子が入り込みます。その後繊維が冷え、分子の隙間が閉じ、染料が繊維の中に定着する――これが合成繊維の染色の仕組みです。
このとき染色機の中には分散染料や水とともに、染料が水中に均一に分散するための「分散剤」と何百mもの長さの生地を均一に染めるための「均染剤」が加えられていました。このように合成繊維の染色には、二つの工程薬剤が用いられていたのです。

しかし二つの薬剤を使うことで、加工工場のコストがかかっていました。そこで両方の機能をひとつにまとめた薬剤へのニーズが生まれてきました。その流れを受け、日華化学が開発したのが「分散均染剤RM-340」でした。 通常、染料の粒子が水中に均一に分散する「分散性」と、生地がムラなく染まる「均染性」はトレードオフの関係にあり、分散性を優先させれば均染性が劣り、均染性を上げれば分散性が悪くなります。

しかしRM-340はこの双方の特性をバランスよく兼ね備えた製品でした。昭和50年代に発売されたRM-340は、またたく間に数多くの染色工場で採用され、全国に普及していったのです。 その後、時代とともに繊維産業は国内から韓国、台湾、東南アジアへとシフト。それにともないRM-340も日本から加工工場のある国々へと輸出されていきました。しかし日本から輸入するよりも現地で製造したほうがより安価に調達できることから、日華化学の台湾、タイ、中国などの拠点でもRM-340が生産されるようになっていったのです。


RM-340は、植物由来の原料などを何種類も加工して製品化されます。原料は各国の拠点ごとで調達され、それらの特性に応じた製造方法でRM-340に製品化されます。主要原料は天然物なので、産地によって微妙に成分が違っています。また分散均染剤が使われる染色工場も国によって禁止薬物の規制などが異なるため、RM-340の成分も異なっています。つまり同じ「RM-340」という名称であっても、それぞれの国ごとで品質のバラつきが生じていました。

    一方2000年以降、アジア諸国のボーダレス化は目ざましい勢いで進みました。例えばこの数年間で台湾と中国本土の直行便も増え、ものづくりのやりとりも盛んに行われるようになっています。今日では日本企業がタイ工場と中国工場で同じ製品を生産したり、台湾企業が中国やベトナムの工場に生産を委託するなど、アジア全体で国境を越えた生産連携が行われるようになりました。 こうした背景の中、各国の工場で使われるRM-340などの工程薬剤がどの国でもまったく同じ性能のものが手に入るよう、グローバルな品質保証が求められるようになってきたのです。
 
    2007年、「各国仕様のRM-340からグローバル仕様のRM-340へ」とのスローガンのもと、「グループ統一製品プロジェクト」がスタートしました。 「品質」は「4M」と呼ばれる要因によってバラつきが生じます。4Mとは「人=Man」「原 料=Material」「機械設備=Machine」「製造方法=Method」のことで、統一品質のためにはこれらを厳密にコントロールする必要があります。 プロジェクトを主管した技術開発部では、「各国仕様RM-340」に使われている一つひとつの原料の成分分析を行い、各工場の製造加工条件、製造過程で使われる薬剤、各国・各企業で異なる使用禁止物質などの条件を明らかにしながら、統一品質のための基準づくりを進めていきました。

 
    こうして2009年、3年の歳月を経てRM-340のグループ統一製品版が完成。名前も新たに「RM-3400シリーズ」と名付けられ、日本を含め8拠点で生産・供給が始まったのです。 日華化学は今回の実績をもとに、他分野の製品でも統一製品化を進めていく計画を立てています。国境を越えたものづくりが行われる今、ますます高まる「統一製品化」へのニーズ。“世界企業”に向けた、日華化学の挑戦は続きます。

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