開発最前線

自動車業界の“シックカー”アルデヒドの消臭対策に朗報!

“シックハウス症候群”――化学物質で室内空気が汚染され、頭痛や目の痛み、喘息やしっしんなど健康に悪影響を与えてしまう症状です。
住宅だけでなくクルマの室内でも同様の症状が発生する可能性が指摘されており、自動車産業界は今、業界を挙げて“シックカー”対策への取り組みを進めています。
内装材などにスプレーで吹き付けるだけで、原因となる揮発性有機化合物(VOC)を効果的に除去する「キラクルAL」。
平成19年の発売以来、国内外の自動車関連各社から熱い注目を集めています。

アルデヒド対応消臭剤の開発者の声

このプロジェクトがスタートしたのは平成18年。日本自動車工業会が、シックハウス対策の自動車版である「シックカー対策」への取り組みをはじめた年でした。
その後、タイの自動車関連企業から開発要請があり、製品化を急ぎ、平成19年に量産化にこぎつけました。

日本では平成19年からシックカー対策は自主規制に、中国ではすでに法規制の対象になっています。

スプレーで簡単に塗布できる製品としましたので、大きな設備投資も不要。有害物質の除去効果も、従来品に比べ格段に優れています。
シックカー対策の定番薬剤として、世界の工場でお使いいただけるよう、普及に努めていきたいと思っています。

question
「シックカー症候群」とは?

新開発 アルデヒド対応消臭剤”キラクルAL―00GT”とは?
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Answer
「シックカー症候群」とは?

住宅で発生する“シックハウス症候群”。新建材や壁紙、接着剤などに含まれる化学物質=揮発性有機化合物(VOC)が原因となって引き起こされる健康障害です。
一方、自動車でも同様の症状が指摘されていました。車に乗ると目がチカチカして気分が悪くなる、くしゃみが止まらない、しっしんが出る・・・といった車版の“シックカー症候群”です。車内のシートやカーペット、天井材などから発生するホルムアルデヒドやアセトアルデヒドといったVOCが原因とされ、新車で多く発生すると言われています。

[シックカー症候群の症状]

・くしゃみや鼻水が出る
・頭やのどが痛い、やたら眠く頭がボーッとする
・なんだかイライラする
・目がショボショボする
VOCとは「Volatile Organic Compounds=揮発性有機化合物」のことで、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、トルエン、ベンゼン、キシレンなどがよく知られています。これらの化学物質は、塗料や接着剤などの溶剤または洗浄剤として産業界で広く利用されています。
シックカー問題に対応するため、日本自動車工業会では『車室内VOC低減に対する自主取り組み』を策定、19年度以降に発売される新型乗用車に適用していくこととなりました。
http://www.jama.or.jp/lib/jamareport/098/index.html
車室内のVOCは、シートや天井材、床材などさまざまな部品・素材から発生します。自動車工業会では、部品メーカーや素材メーカーの協力を得ながら「VOCを発生させない車室内環境づくり」に取り組んでいますが、解決は容易ではありません。
自動車にはプラスチックや接着剤、繊維製品、樹脂、ウレタンなどの化学素材が多く使われています。
それらは加工がしやすく、耐久・耐熱・耐磨耗性などに優れているからです。
また自動車のエンジン周りや、真夏の炎天下での車内は、住宅では考えられないほどの高温状態になり、化学素材が分解・揮発し、さまざまなVOCが発生してしまいます。
「発生したVOCをいかに無毒化(中和)するか」――これが現時点での現実的な解決方法と言えるでしょう。
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新開発 アルデヒド対応消臭剤”キラクルAL―00GT”とは?

どのような中和剤をつくるか――そのアイデアを練るために、開発チームが先ず足を運んだのは、自動車の加工工場でした。
自動車産業は徹底した工程合理化を進めています。
「工程の邪魔にならず誰でも簡単に施工できること」――これが先ずクリアしなくてはならないハードルでした。
自動車工場の工程を分析した結果、シートや床・天井材などに「スプレーで吹きかけて使う液体状」の薬剤にすることに決定しました。
またシートなどに吹きかけても変色しない、乾いたときに粉をふいたりしないことも、重要な条件でした。

これまでのVOCの処理では、小さな穴が無数に開いた「多孔質」の粒子を使うことが一般的でした。穴の中にVOCを取り込む「吸着」という処理方法です。
しかし多孔質の粒子は小さなものでも直径0.5マイクロメートル※1の大きさがあるためスプレーの穴に詰まったり、乾いたとき粉状になり汚れとなってしまいます。
また透明な液状の処理剤もありましたが、それらはVOCの中のホルムアルデヒド、アセトアルデヒドをうまくキャッチすることができませんでした。
VOCの中でも、アルデヒドは処理しにくい物質だったのです。
※1 マイクロメートル/1000分の1ミリメートル

こうして新しい処理剤の「あるべき姿」を徐々に絞込み、

1.スプレー施工に適した液状
2.無色透明
3.これまで難しいと言われていたアルデヒド処理に優れた能力

という3つの開発コンセプトが決まりました。

「スプレーの噴射口に詰まらず、無色透明な液状にすること」――この課題をクリアするためチームが取り組んだのは、多孔質粒子の「ナノ」レベルの大きさの機能性粒子の開発でした。この粒子をVOC(アルデヒド)と「化学反応」させることで無害化することを目指しました。

チームは直径5ナノメートル※2のシリカの粒子を生成し、その表面にアルデヒド分子を素早くキャッチし離さない「手=反応基」をつくりました。粒子の大きさをナノレベルにすることで、「手=反応基」が飛躍的に増加。これにより、高いアルデヒド処理能力が生まれました。そして、このナノ粒子を水に分散させ、無色透明な溶剤としたのでした。
※2 ナノメートル/100万分の1ミリメートル
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